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上申書、棄却審証人〔己〕(第一、二回)の供述記載、異議審証人〔己〕の供述記載、同年六月五日弁護士南出一雄法律事務所において同弁護士ら立会のもとに〔己〕の供述を録音したソニーカセツト録音テープ棄却審書記官〔乙46〕作成の昭和四八年一〇月二六日付写真撮影等報告書、棄却審の実施した検証調書の各記載によれば、〔己〕の供述するところはおよそ次のとおりである。

1 自分が本件殺人事件の犯行に使用した凶器は、右事件のあつた一〇日位前に、ミシン修理に使う長四角形のヤスリを自宅にある手回しのグラインダーにかけて、片刃で切先を短刀の様に曲げ、これを砥石でさつと研ぎ、柄にはドライバーの丸い柄をつけて作つたものであつた。古いことで記憶ははつきりしないが、刃渡りは約二〇ないし二五センチメートル位、刃巾約三ないし三・五センチメートル、峰の厚さ約〇・三センチメートル位のものであつた。
 ママ 本件犯行当夜の自分の服装は、袖が手首のくるぶしから上約五・五センチメートルまである白色のカツターシヤツを着、黒の長ズボンおよびゴム底で歩いても音がしない黒色のズツク靴を履き、帽子、眼鏡を着用せず、覆面はしなかつた。また当時身長は約一七一ないし一七二センチメートル位、髪の毛をのばし、分けていた。
3 その頃、癖の様になつていたが、当夜も女性にいたずらしようと思つて、午後一一時前頃に家を出て歩き廻つていたところ、いつしか原判示〔乙〕方附近に来たが、そのとき本件犯行の一〇日か二週間位前に〔乙〕方二階でミシンを修理したことがあり、その折二二、三才位の娘が二人いたことを思い出して〔乙〕方に入ることにした。自分は昭和二三年頃からヒロポンを常用していたので頭も普通で