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一日付供述調書の各記載、原一審証人〔丙4〕、原一、二審証人〔乙10〕の各供述記載によれば、昭和二四年八月八日午後一時頃被告人方東隣りの弘前市在府町〔略〕〔乙10〕方屋敷内の玄関前敷石上に直径一ないし二・四センチメートルの血痕様斑痕六点、同屋敷内の南側(道路寄り)で被告人方寄りにある笹藪の中の笹の葉上に同様斑痕七点、被告人方屋敷内で〔乙10〕方との境界となつているさわらの生垣附近の笹藪の中の笹の葉上に同様斑痕八点が、また同日午後二時頃に〔乙10〕方表門の東側に接する潜り戸の敷居上に同様斑痕二点が発見されたことが認められる。

(ロ) 鑑定人松木明作成の昭和二四年八月三〇日付鑑定書の記載によれば、〔乙10〕方玄関前敷石上の斑痕について、ピラミドン反応試験、抗人血清家兎免疫血清反応試験が共に陽性を呈し、かつB型であることが、また同鑑定人作成の同月一五日付鑑定書の記載によれば、右各笹の葉上の斑痕は、米粒の三分の一位の大きさで、赤褐色を呈し、一葉上に一箇ないし数箇附着していたが、これらは右各反応試験において共に陽性を呈したことが、そしてさらに原一審証人松木明および原二審証人〔丙〕の各供述記載によれば、〔乙10〕方潜り戸の敷居上の斑痕は、松木明において検査したところ右各反応試験において陽性を呈したことがそれぞれ認められる。
 しかしながら鑑定人古畑種基作成の昭和二六年一〇月一三日付鑑定書の記載によれば、右笹の葉上の血痕様斑痕をとどめている笹の葉一四枚の表裏の各斑痕につき、ベンチヂン、ルミノール各反応試験を試みたところ陰性を呈し血液の附着を証明することができなかつたことが明らかである。
 右松木鑑定と古畑鑑定とは時期的に相違するところはあるが、古畑鑑定はさらに笹の葉の特性にも