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月一一日付、同月一四日付、同年一〇月二四日付各供述調書、原一審証人〔乙5〕、同〔丙4〕、同〔乙8〕、同那須とみ、同〔乙43〕の各供述記載および本件白靴の存在によれば、次の事実が認められる。

 本件白靴は被告人の父〔丁2〕が履き古して放置していたものであつたが、被告人はこれを昭和二四年七月上旬頃靴修理業〔乙8〕に修理を依頼し、一週間位後に修理を終えて受け取り、以後これを常用し、本件犯行のあつた同年八月六日も履いていた。そして同月二一日午後四時頃弘前市亀ノ甲町〔略〕〔乙4〕方を訪れたときもこれを履いていたのであるが、同日午後九時頃同人方より帰宅しようとしたところ雨が降つていたため、本件白靴を同人方に預けて下駄を借りて帰宅した。同日午後一一時頃警察官〔丙4〕は〔乙4〕方を訪れて本件白靴の紐に血痕らしいものが附着していることを発見し、翌二二日同靴を領置した。その際における本件白靴は、左右両足とも前底は合成ゴム様のものであるが、踵は皮革であり、いずれの踵もその半分位に皮をつぎあてて修理した跡があつた。またいずれの後端にも摩滅を防ぐ鉄片各一箇が打ちつけてあり、また各上部は白色のズツク靴で靴紐を通す金属環が五箇づつ二列に並び、そこに一本の紐が通してあつた。左足の靴の前底で栂指があたる部分には、長径約四・五センチメートル、短径約三センチメートルの惰円形状にゴムが貼りつけて修理されてあつた。
2(イ) 鑑定人引田一雄作成の昭和二四年九月一日付鑑定書の記載によれば、同鑑定は同年八月二四日付弘前市警察署長からの鑑定嘱託に基づき実施されたものであるが、本件白靴の右足紐に附着する小指頭大の褐暗色の斑痕の一部その他斑痕と思われる箇所につきべンチヂン反応試験、ルミノール反