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「噴出」または「迸出」血液の飛散したものが附着したとは到底考えられない不自然な状況にあることが認められる(別紙図面㈢、㈣参照)ので、これらの事実に照らし同鑑定人の右推定は必ずしも前記認定を左右するものではないと判断される。それにも拘らず本件白シヤツに前記六点の「噴出」または「迸出」した血液が附着していたということは極めて疑わしい。

 原二審証人古畑種基は裁判長の問に対し「シヤツの血痕は静脈血の噴射の主流によつてできたものとは認められない」と答え、さらに「そうすると凶器についた血液からあれ程の血がしたたると推断できるか」との間に対して「それは仮定が入つているから判らない」と述べており、同証人ですら本件白シヤツ附着の血痕が「噴出」または「迸出」血液により附着したものとは認めていなかつたことが窺われる。
⑶ では本件白シヤツには警察でこれを押収した昭和二四年八月二二日当時から前記三木鑑定、古畑鑑定にいう如き「赤褐色」の斑痕が果して附着していたのであろうか。
(イ) 本件白シヤツには被告人がこれを貰い受けてきた当初から胸の辺りに醤油のこぼれたようなしみがついていたことは前記のとおりで、このことは原一審証人那須とみにおいて認確しているところであり、同人はその後何回か右シヤツを洗濯していることが認められる。
(ロ) 原一、二審、棄却審ならびに異議審証人引田一雄、鑑定人引田一雄作成の昭和二四年九月一日付および同月六日付各鑑定書、前記〔丙3〕、平嶋鑑定書、前記松木、〔丙〕鑑定書(同年一〇月一九日付)、同年八月二二日付捜索差押許可状、捜索調書、差押調