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亀ノ甲町〔略〕、〔乙4〕方を訪ねたときもこれを履いていたのであるが、同日午後九時頃同人方より帰宅しようとしたところ雨が降ついたため、本件白靴を同人方に預けて下駄を借りて帰宅した。同日午後一一時頃警察官〔丙4〕は〔乙4〕方を訪れて本件白靴の紐に血痕らしいものが附着していることを発見し、翌二二日同靴を領置した。その際における本件白靴は、左右両足とも前底は合成ゴム様のものであるが、踵は皮革であり、いずれの踵もその半分位に皮をつぎあてて修理した跡があつた。またいずれの後端にも摩滅を防ぐ鉄片各一箇(ほぼ扇状で最長の対角線は約三・五センチメートル)が打ちつけてあり、また各上部は、白色のズツク靴で靴紐を通す金属環が五箇づつ二列に並び、そこに一本の紐が通してあつた。また左足の靴の前底で栂指があたる部分には、長径約四・五センチメートル、短径約三センチメートルの隋円形状にゴムが貼りつけて修理されてあつた。右靴の状況からすれば爪先立つて歩けば兎も角普通に歩行する限り、敷石とかコンクリートなどの固い場所を歩くときには、踵の鉄片により音を発することが推測されるものであつた。

(ロ) 昭和二四年八月二四日付弘前市警察署長からの鑑定嘱託に基づき鑑定を実施した鑑定人引田一雄は、本件白靴の斑痕からは人血反応を認めなかつた。前記〔丙3〕、平嶋鑑定(昭和二四年九月一二日付)においても、血痕であることの証明はできなかつた。
(ハ) ところが鑑定人松木明および〔丙〕共同作成の昭和二四年一〇月一九日付鑑定書によると、別紙㈢に示す左足の靴において、ウ点に人血にしてB型を、う点に人血を、そしてあ、い点に弱