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(ト) 〔己〕が引き戸から出て潜り戸まで着かないうちに犯行現場の離座敷の方から「泥棒」と叫ぶ女の声が聞えたと供述するところは、〔乙2〕が「泥棒」と叫んだとき男の姿は三間位前方に見えたという供述と符合する。
6 逃走経路
⑴ 本件犯行の翌早朝現場附近の捜査を開始した警察官は、同日(昭和二四年八月七日)午前六時頃〔乙〕方敷地内の玄関前附近から表門に至る間の敷石上に五点、同門に接してその北側わきにある潜り戸の道路側(同戸の東方二尺五寸―〇・七五メートルの地点に血痕あり。)から同門前のアスファルト路上に出て同路上を南方に進み、突き当つて西方へ折れた先の在府町〔乙9〕宅前路上に至る間に一八点の点在する血痕を発見した。これら血痕はおおよそ大豆大から雀の卵大であつたが、鑑定の結果人血で、B型と判明した(別紙㈠㈡参照)。
⑵ 翌八日午前九時頃〔乙9〕宅前を西方に進み、十字路交差点を北方に行つた先の右側に所在する在府町木村産業研究所の前の電柱附近に直径約一センチメートルの血痕一点が発見され、これは鑑定の結果人血でB型と判明した(別紙㈡参照)。
 そして木村産業研究所前から北方にのび、かつそののびた先から東西に走る道路下の一帯にはなんら血痕を発見されなかつた。
⑶ 被害者の血液型については、本件犯行により被害者の身体から大量に流れ出した血液が明らかに附着したものと認められた畳或は畳床藁の血痕を検査対象として判定した結果B、M、Q、E型で