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畳の横巾(約二尺九寸―〇・八七八七メートル)だけ離して敷居と平行に、また同布団の上端は西側壁から約一メートル(畳の横巾とさらに目測一〇センチメートル位)東方に離して敷いた。そして蚊帳の中央部の上にある二燭光の水色の豆電球は右就寝の際つけたままとしながら、蚊帳の上に新聞紙二枚を置いて、右電球の明りが長女のところだけに差し、〔乙2〕と被害者のところには来ないようにしておき、また縁側と座敷との間にある敷居上の硝子戸は閉めなかつた。

 ところで被害者が床に就いた時刻は〔乙2〕よりも五分位後であつた。
⑶ 〔己〕が、〔乙〕方表門わきの錠のかけられてなかつた潜り戸から屋敷内に入り、表門附近から東側道路に面した庭の方にきたところ、本件犯行現場の離座敷に至つたこと、被害者は東側から見た場合に、前方(西)に頭を、手前(東)に足を向け、蚊帳を吊つて寝ていたこと、離座敷の南側には、腰板の上に硝子が入つていた四枚の引き戸があり、その前に踏み石があつたこと、引き戸に接する室内は縁側となつていたこと、縁側の先に敷居があり、さらにそのすぐ先は座敷であつて、引き戸から座敷に至る間には、障害がなかつたこと、被害者は座敷の縁側寄りに寝ていて、頭は西の壁から約一メートル位東方であつたと供述するところは、前記状況と符合する。
 尤も〔己〕が、縁側は板敷であつたような気がするとか、被害者の頭の位置は敷居から約五〇センチメートル離れていたとかいうところは、前記状況とやや相違するし、また犯行当時被害者のすぐかたわらに寝ていた筈の当時四才になる長女を認めたか否かの点について、その供述に多少暖味な点は見受けられるが、本事件後長期間を経過していることによる記憶の薄れや、犯人として室内の状