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ソー 然らば其善きは之れを取り、惡しきは之れを棄つべきか。

クリ 然り。

ソー 智者の意見は善にして、愚者の意見は惡なるか。

クリ 然り。

ソー 他の事に關しては如何ん、體育家の門弟子は、世間一切の人の毀譽褒貶を意とすべきか、將た又た唯だ一人――敎師たれ醫師たれ其は孰れならんとも可なり、其一人に聽くべきや如何ん。

クリ たゞ其一人に聽くべきなり。

ソー 而して此人、たゞ其一人の褒貶は之れを恐ると雖、世間一般の褒貶は恐るべきに非ずとすべきか。

クリ 之れ明瞭なることなり。

ソー 然らば彼れ一切他人の意見を合計したるものに從はんよりも、寧ろ、其一人の師たる人の善しと見る所の方法に從つて行動し、操練し、飮食するが當然なるか。

クリ 然り。