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然り信ぜざるを得ず。而して君の靜默は之れに承認を與へたるものなりと解することを得るなり。然らば精靈或は神‐人とは如何なるものぞ。是等は神々或は神裔には非ざるか。之れ眞に非ざるか。然り、其は眞なり。

然りと雖之れ余が前に言ひし所の謎語なるものたるなり。乃ち神‐人或は精靈なるものは又た同じく神にして君は始めに余を以つて諸神を信ぜざる者となし、今ま又た諸神を信ずるものとなせり――即ち之れ余が神‐人を信ずればと云ふに由るなり。何となれば若し神‐人なるものは諸神の正統ならずして、或はニュンフ或は其他の母より生れたる者なりとするも、必ず其兩親の存在に考へ及ぶことは萬人の然りとする所なり。君は或は騾馬なるものゝ存在を確知して而も其兩親たる馬及び驢馬の存在を否むものなり。メレートスよ、此くの如きの愚は、余を審問せんとして、たゞ君の如き人のみ能く之れを爲す者なり。君が此くの如きことを吿發書中に書き入れしは、眞に余を責むべき罪なきが故なるのみ。然りと雖苟も理解力の一分子なりとも有せる者は、神聖且つ人間以上の事あ