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Page:Onishihakushizenshu04.djvu/89

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の第一は極めて明瞭に且つ判然と吾人の思考したるものの外は何事をも全く受け容るべからずと云ふこと、第二は困難にして解し難き事柄に逢へば其の難解の點を委細に分析すべしと云ふこと、第三は最も簡單に又最も平易なるものより始めて順次に複雜なる事へ進み行くべしと云ふこと、第四は吾人の硏究の中に入るべき事柄を漏らす所なく網羅すべしと云ふこと、是れなり。デカルトは、學術の硏究は斯くして進め行かざるべからずと見たり。彼れは決して實驗を輕んじたるにあらず、寧ろ硏究上吾人の考ふべき事柄は餘さず之れを網羅する必要を認め而して實驗したる事柄に就き極めて明瞭にして疑ふべからざる點を見定むるを要すと說けるなり。斯く直接に明瞭且つ正確なる立脚地より出立して徐々に其の步を進め而して一步々々に吾人が所見の確實明瞭なるか否かを吟味し行くべしとなせるなり。約言すれば、彼れの硏究法の骨子と見るべきものは先づ直覺的に明瞭なる事件を根據とし而して之れを出立點として進み行く一步々々が亦吾人の思想上直覺的に明瞭ならざる可からずと云ふこと是れなり。斯く明瞭なる根據より究理し行く所より見れば彼れの硏究法は演繹的なりと謂ふべし。唯