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り外に其の道なかるべし。是に於いて彼れは此の內部の經驗に基づきたる心理學を以て哲學全體の基礎となせり。以爲へらく、カントは其の理性批判の硏究法其の物の性質が斯く經驗を根據とするものなるを認むること十分ならずと。
フリースは斯く哲學硏究は畢竟後天的ならざるべからずと唱へたれども尙ほかかる後天的硏究法によりて吾人の知識に先天的要素のあることを發見し得べしと考へたり。又彼れは時空の形式及び範疇等を其等の先天的要素とすることに於いてカントと其の說を異にせず。其の知識論上硏究法の性質に就きての論を外にすれば其の所說の內容に於いて彼れは大抵カント以外に出でず。彼れは吾人の知識を以て現象界に限られたるものとし而して其の現象界其の物は有機體に至るまでも凡べて機械的關係に從うて數學的に說明し得べきもの、然るに眞實體は吾人の知識の範圍內に在らずこれに就きては吾人は唯だ信仰を懷くのみと說き、而して此の知識と信仰とを媒介するものを名づけて感想(Ahnung)と云へり。以爲へらく、觀美及び宗敎上の觀念は此の感想の範圍に屬するものにしてこれは現象と實體とを相離れざるものとし彼れに是れの現はれ、有形なるものに無形永