コンテンツにスキップ

Page:Onishihakushizenshu04.djvu/571

提供:Wikisource
このページは校正済みです

ふ意味にて無際限なるものとなる。凡べての物が分かつべからざる單元より成れるか將た限りなく分かたるゝものなるかといふことに就きても又同樣の證明を爲すことを得。盖し空間に於いて分かたるゝか否かは吾人の見樣なり、吾人が分割を止むれば其處に一物を成し若し分割を進むれば其を合成物として更に分割することを得。空間は吾人の見樣なるがゆゑに究竟する所吾人自らが分割し或は分割せざるまでのことにて別に無窮に分かたれざる又は分かたるゝものの客觀的に存在するにはあらず。

次ぎに後の二つの予盾に於いては立も反立も若し其の指す所の範圍を異にすれば共によく眞なるものとせらるゝを得、換言すれば、其の意義を解き分かつことによりて其の矛盾は消滅するものと考へらる。自然界即ち現象界に於いては自由原因といふべきものなく凡べて機械的關係に從うて必然的に生起變移すと見るべきなれども現象界を超えたる眞實體界に於いては自由意志といふが如きものありとも考へらる、別語にて云へば、自然科學上の見方よりすれば自由は無きものとせられ、道を言ふ上に於いては自由は在るものとせらるゝを得、更に換言すれ