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の原理を名づけてカントは經驗的思考其の物の要求(Postulate des empirischen Denkens überhaupt)と云へり、之れに三つの原理あり、一に、經驗の形式的條件即ち直觀及び槪念の形式に從へるものは可能なるものなり、二に、經驗の素材的條件即ち感覺に合するものは存在するものなり、三に、經驗の全體に通ずる條件に從うて存在に合したるものは必要なるものなり。
以上揭げたる原理の中第一及び第二の原理は吾人の經驗する一切の事物は皆大さ及び强さに於ける分量に屬するものなりといふことを言表したるもの、第四の原理は可能、存在及び必至といふことの意義を言表したるもの、而して第三の原理は自然界に關する吾人の知識の中最も肝要なるものにして此の所是れ即ちカントが依りて以てヒュームの疑ひ(即ち其が實體及び因果といふ觀念の批評に於いて言ひあらはせる所)を解かむとしたるものなり。カントに從へば、凡そ或事柄の同時に在り或は前後して在るといふは一の常住なる體に於いて始めて出來得ることなり、變化は其の常住なる體に於ける狀態なり、此の常住なる體を置かずしては變化する狀態を考ふべからず、即ち是れは吾人の思想の成り立ちの然らしむる