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ること能はず、また之れを分割すること能はず、國王は唯だ國家の最高の役人たるに過ぎずと論ぜり。
國法の論を爲したる學者の中最も有名なるを和蘭人フーゴー、グローチウス(Hugo Grotius 一五八三―一六四五)とす。彼れは天啓によりて定まれる神定法と人間の定めたる人定法との區別を爲し、又アリストテレースの說を取りて人間は本來社會的の者なりとし、而して又此の人間の社會的性質を根據として凡べての權理上の論を演繹せむと試みたり。彼れは自然法と制定法とを分かちて曰はく、自然法は凡べての人間即ち理性を有する者に遍通なるものにして、制定法は歷史及び國土の差別によりて相異なりと。彼れは尙ほ自然法及び制定法の各〻を分かちて人と人との間を律するもの(jus personale)國と國との間を律するもの(jus gentium)との二つとなせり。後者は即ち萬國公法にして其の論は彼れが名聲を後世に遺したるものなり。
《懷疑的傾向と實際的傾向。》〔一四〕上に述べたるが如く當時は樣々の說出でて樣々の傾向を示したりしが尙ほ整然たる組織を成せる者とては無く、頗る大膽なる所ありしと共に又多く