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Page:Onishihakushizenshu04.djvu/47

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三九)等なり。

《ジョルダーノ、ブルーノの自然哲學。》〔八〕彼等伊太利の自然哲學家等の中に就き最も傑出したるを


ジョルダーノ、ブルーノ

とす。彼れは當代の最も光彩あり最も大膽なる思想家なり、己れ羅馬敎會の僧侶なりしにも拘らず其の懷抱せる說を吐露して毫も憚らざりき。彼れに親善なるもの之れを諌めて其の直言を愼まむことを勸めたれとも彼れ聊かも枉ぐることなかりしを以て七年間獄舍に繫がれし後遂に火刑に處せられたり。

ブルーノは宇宙を觀て活動するもの又無際限なるものとしたり。彼れは當時已に世に傅へられたるコペルニクスの天文上の新說を採り更に之れを推し擴めて宇宙全體を蔽ふものとなしたり。コペルニクスの說ける所は地球及び其の他の遊星が太陽を中心として回轉すといふに在りて羅馬敎會が其の宗敎上の信仰に結び附けて信じたる如くに大地は宇宙の中心には非ず一の遊星に外ならずとせり。ブルーノは更に其の說を擴張して曰はく、幾多の星體一太陽を中心とし其の