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Page:Onishihakushizenshu04.djvu/445

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人間に對するや之れを身體上一の機械なると共にまた物體ならぬ他のものを具ふと考へたりき。ラ、メトリーは人間と下等動物とを比較し二者は畢竟程度の上に於いて相異なるものにして人間に於いて他に存せざる特別のものの存在を說くべき理由なきことを示さむと欲したり。論じて曰はく、啻だ下等動物のみならず植物人類との間にも畢竟ずれば亦唯だ程度の差別あるのみ、下等動物の如く、また植物の如く、人間は唯だ物體即ち物質的機械に外ならず、されど之れと共に下等動物及び植物も亦人間に異なる所なく決して全く精神無きものに非ず、感覺は凡べて生ある物の具ふる所たるなり。

かくの如く幾多の生物が其の差等に於いて段階を成し居るを見てラ、メトリーは之れを下等なるものより高等なるものに向かひ行く順序となしたり。而して斯く生物をして發達せしむる動力は其が衝動なり欲求なり。植物より動物に至る段階を見るに營養を得むが爲めに動くべき必要の多きほど其の生物は知力に於いて多く進步したり、人間は最も多くの缺乏を感じ從ひて最も多くの動作を爲さざるべからざる必要に迫られ居るがゆゑにまた最も多く其の知力の發達したる