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コンディヤック(Condillac 一七一五―一七八〇)

なり。彼れの著書には『人知の起原を論ずる書』("Esssai sur l'Origin de la Connaissance Humaine" 一七四六出版)あり、及び其の著書の中最もよく知られたる又彼れが特殊の見地を發表したる『感覺論』("Traite des Sensations" 一七五四出版)あり、其の他『論學』("Logique" 一七八〇出版)また其の死後に公にせられし"Langue de Calculs" 等あり。

ロックは吾人の觀念に二つの淵源ありとし而して其の淵源より得たる觀念を結合し比較し又抽象する作用が吾人の心に本具すと見たりしがコンディヤックは之れを改めて觀念の起原及び吾人の心の一切の作用を更に一層單純なるものに歸せしめ、吾人の觀念は凡べて感覺より成り而して吾人の心の活動には感覺を感ずるといふ能力以外に生具するものなしと見たり。故に彼れの見る所よりすればロックの言へるが如く觀念の淵源には感覺以外に反省といふものなく又感覺を感ずるといふことの外に別に知力又は知解(understanding)といふべきものなく、