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スタント敎は元來宗敎の生命を以て外形の行爲にあらず各自の內心の實證にありとしたるものにして、其の起原に於いて明らかに件の實行的神祕說に聯絡したるものなり。ルーテル自ら神祕家の趣を帶びたりしが彼れは後に至りては聖書の文句を信仰の標準と見做して宗義を形づくることに傾きたり。〔ルーテル派のプロテスタント敎的神學を形づくることに於いて最も力ありしはメランヒトン(Melanchthon)にして彼れはプロテスタント敎義を組織するにアリストテレースの哲學を用ゐたり。同じくプロテスタント敎の中にてもカルヸン派は專らアウグスティーヌスに憑據せり。斯くプロテスタント敎徒が宗派を分かちて各〻宗義を形づくらむとするに反對し殊にプロテスタント敎に用ゐられたるアリストテレース風の思想に反對して其等の宗派に係はらざる基督敎的神學を形づくらむとしたるを以て有名なるはタウレルルス(Taurellus)なり〕。かくてプロテスタント敎徒が宗義を樹てゝ經典の文字に拘泥する傾向に反對して吾人各自の心裡の宗敎的實驗を基礎とする神祕家の流を持續せむとしたる人々の起これるありき。シュヹンクフェルド(Schwenckfeld 一四九〇―一五六一)フランク(Franck 一五〇〇―一