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五四五)及びパラセルススの影響を受けたるヴァレンティン、ワイゲル(Valentin Weigel 一五三三―一五八八)等其の主なるものなり。ワイゲル以爲へらく、我れを棄てて神に合一したる生命を有する者は宗義上、文字上、斷定する所の如何に拘らず皆眞に宗敎の生命ある者、皆クリスチャンなりと。此等の通俗宗敎的神祕家とは少しく其の趣を異にし神祕學者として最も肝要なる位地に立てるは
ヤーコブ、ベーメ(Jakob Böhme 一五七五―一六二四)
なり。已に中世紀に於いて現はれたる獨逸神祕學は彼れに於いて復活し且つ榮ゆるに至れり。ベーメは製靴を業としたりしが一時諸方を遍歷して到る處に醱酵しつゝありし種々の思想を吸收したり。其の所在の有司に叱責せられたるにも拘らず又文筆に嫻へる身にあらざりしにも拘らず其の胸中に鬱積せる思想は溫良なる彼れを驅りて書を著はすことを思ひ止まらざらしめき。
《ベーメが神祕說の特色。》〔六〕通俗を旨としたる神祕家に優りてベーメは眼を自然界に注ぎたり。獨逸神祕派の流れに於いて汲むことを得る一種の宗敎的哲學に加ふるに自然界の