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病は生活の氣の妨げらるゝことによりて起こると。此の生活の氣をアルケーウス(Archeus)と名づく、而してアルケーウスは自然界全體を保つ所の自然力(之れをヴルカーヌス〔Vulcanus〕と名づく)の一の特殊のはたらきに外ならず。生活の氣を妨ぐる者は其の氣に反する地上及び星界の力なるを以て吾人は其等を探知することによりて之れを防ぐを得べく因りて以て吾人の疾病を醫療するを得べしと、かく考へてパラセルススは自然界を知ることによりて得る醫療の祕術を尊崇したり。

《神祕說の勃興。》〔五〕パラセルススに於いて他の思想と相混じて見るを得べき祕術的思想は外界として橫はる自然界の祕密に探り入らむと力めたるものなるが、今外界の代はりに吾人の內界即ち人性の根柢を看破して直接に神に接せむとしたるもの之れを神祕學說となす。前者は大宇宙の方面より全體の祕密を探らむとしたるもの、後者は小宇宙の方面より同一の祕密を探らむとしたるものなり。小宇宙は大宇宙の粹を集めたるものとせらる。神祕說は一面、上に謂へる神智學風の流れに屬するものと見らるれど其の外にまた他の淵源を有せり、即ち中世紀の末つ方に發達したる實行的神祕說是れなり。羅馬敎會の儀式的なるに反抗したるプロテ