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Page:Onishihakushizenshu04.djvu/40

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然界の知識也。世界はそが發生の種子たる一體の者より生じ出で而して此のもの是れ即ち神によりて造られたる原物質(prima materia)なり。此の原物質の中に萬物は未だ其の形を成さずして含蓄せらる、而して此の含蓄せられたるものの開發生長したるもの是れ即ち世界なり。世界は三界に別かたる、一は地水火風の原素を以て成れる地界、二は星界、三は神界なり。人間に於いても亦此の三界に應ずる三部分あり、一は地水火風の原素によりて養はるゝ肉體、二は星を司る精靈に養はれて想念のはたらきを爲す精神、三は宗敎上の信仰(即ち神の惠)によりて養はるゝ心靈是れなり。かくの如く人間と世界とは其の成り立ちに於いて相類似し同一の法則が二者に行はるゝが故に吾人は世界の成立を知ることによりて人間を知ることを得。世界は活物なり、人間に似て時代を經て生長するものなりと。此くの如く人間と世界とを其の成り立ちに於いて相同じきものと見る論、即ち大宇宙小宇宙の論は當時種々の形を取りて現はれたり。

斯くの如くパラセルススは自然界に行はるゝ同じ力が人間に行はるとなしゝ所より自然界の祕密を探り其の知識を醫術に應用せむと試みたり。以爲へらく、疾