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Page:Onishihakushizenshu04.djvu/396

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る他の觀念にも移り行くなり。聯想を基としたる此等の心作用によりて元來感覺的に卑近なるものよりして次第に高等に理想的なる觀念の造り出ださるゝに至り、初めには自利の心より爲したることが後には純粹なる博愛心より爲さるゝに至る。神といふ觀念の如きも凡べて莊嚴偉大なることの聯想の中心となるによりて吾人の最も高尙なる感情の對境となり來たる。神を愛するといふ一種の宗敎的感情も斯くして聯想作用によりて生じたるなり。

《ヂョセフ、プリーストレーの唯物的心理說。》〔四〕ハートレーが觀念の聯絡と腦の微部分の振動との關係を考ふるや唯だ其を相伴ふものと見たるに止まりしが、ヂョセフ、プリーストレー(Joseph Priestley 一七三三―一八〇四 自然科學の硏究者にして一千七百七十四年に酸素を發見せること、及び神學者にして三位一體の宗義に反對してユニテリアン思想を唱へたることを以て其の名を知られ且つ佛蘭西革命に對して熱心なる同情を表せる人なり)は更に一步を唯物論の方向に進め、物質的方面を基礎となし心理的作用をば畢竟生理的作用に懸かりて存するものの如く見、從うて吾人の意志の作用に關しては彼れはハートレーよりも一層明瞭に決定說を唱へたり、而して彼れ自ら其の自說を呼びて唯物論(materialism)と云へり。されど彼れが其の著『物質及び精神に關する攷究』("Disquisitions relating to Matter and