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《ニュートンの空間論。》〔六〕ライブニッツとクラークとは又空間の論に就きても相爭ひライブニッツが空間を以て唯だ吾人の感官の漠然たる見樣なりと說けるに對しクラークはニュートンが唱へたる絕對的空間の說を保持せり。ニュートン以爲へらく、吾人が感官上の時間空間及び塲所は凡べて唯だ關係的のものに外ならず、通俗の見に從へば凡べて此等を以て眞實なる者となせども其等は決して窮極的に眞實なるものにあらず。若し眞實に運動、即ち惰性の規則に從ひてありとすべき底の運動の存在せむには唯だ他に對する關係にのみかゝれるものにあらずして、其れ自身に存在する絕對の空間又絕對の時間なかるべからず、絕對に動かざる塲所(ローカー、プリマリア、loca primaria)なくしては遂に事物の存在を定むること能はず、其等絕對の塲所は其れ自身に於ける塲所にして又それが標準となりて凡べての塲所を定め得るものならざるべからず、而して其の如き絕對の塲所は吾人の感官の能く吾人に示す所にあらず、一言に云へば、眞實の空間及び眞實の時間は吾人の數學的に考定する空間及び時間なりと。斯くしてニュートンは數學上抽象して考へざるべからざるものを以て實在を示すものと考へ、學理上に於いては五官の示す所