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としたるも是れ唯だ硏究上の方便にして哲學的世界觀を言ひ現はせるものに非ずと考へたり。ニュートン亦宇宙の構造に意匠の現はれ居りて天體の配置及び宇宙全體の構造が其の偶然にして成り上がれるものに非ざるを示し、且つ天體の運動は初め之れに運動を與へたる者の存在を示し(若し初めに物體に運動の與へらるゝことなくば遊星は引力に從ひて太陽に合體し居るべき筈なりとし)殊に有機物の構造は目的を具へて作爲する造化主の存在を證明すと考へたり。
然れども天體の調和は全く完全なるものとなり居るに非ずして彗星遊星との關係より不規則なる運動の生じ來たることあり。而して其れが爲めに天體の間に破壞を來たさざらむ爲めには神は時々に直接に其等の不規則なる關係を矯正するを要すと考へざるべからず。斯くニュートンが宇宙の調和は自然に完全なるものに非ずして時々外より神力の干涉するを要するが如く考へたる點に對しライブニッツは痛く之れを攻擊して是れ恰も造化主の作爲を以て下手なる時計師が時計を作れる後に屢〻其を修復せざるを得ざると同一視するものなりと云ひ而してニュートンの弟子クラークは之れに對してニュートンを辯護せり。