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バウムガルテン
《バウムガルテンと其の美學說。》〔八〕バウムガルテン(一七一四―一七六二)はヺルフが組織的に攷究せる所をば更に步を進めて其の詳細なる點にまでも整然たる形を與へむと企てたり、又哲學上の用語の彼れに定められたるものが後にカントに用ゐられて長く後世に傳はれるもの少からず。彼れが說ける所の中、最も後世に記憶さるゝは美學上の論なり。さきにヺルフは其の謂ふ理體學及び實踐哲學に入る前に學問硏究の順序として論理の學を置けり、而して論理學とは吾人が事物を明瞭に知識することに於いて思想の成立及び規則を論ずるものを謂ふ。而して吾人の知識はライブニッツの說く所に從へば、漠然たるもの即ち感官を以てするものと及び明瞭なるもの即ち所謂知解に屬するものとの二段階に分かる、前者は下等のものにして後者は高等の者なり、然るにヺルフの論じたるは唯だ高等なるもの即ち論理學に止まりて終に下等なるものに論じ及ばざりき。此のゆゑにバウムガルテンは以爲へらく、吾人の知識の論(彼れの所謂 Gnoseologie)を全からしめむにはヺルフの說きたる