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Page:Onishihakushizenshu04.djvu/204

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《靈魂作用に於ける明不明の差等。》〔一〇〕靈魂も亦連續律に從ひ其が念ひ浮かぶる想念の明不明に於いて多くの差等を成す。之れを大別すれば最下等は恰も吾人の昏倒して無意識となれるが如き狀態に在るもの、此等の睡れる靈魂は生物の最下級に位するものにして草木の如き是れに屬す。次ぎの段階は動物の靈魂にしてこれは感覺を具ふ。其の想念することの如何に不明瞭なるものにてもモナドは皆若干の(或は無意識なる)想念及び其の想念が更に他の想念に移り行く傾向appétit 又は tendence)を有せざるは無し、何となれば想念はモナドが自性に具する所の自發せるものにして、而してモナドには若干の想念をおもひ浮かぶるに止まらず更に進みたる明らかなる想念を浮かべむと力めざるもの無ければなり。而して動物の唯だ感覺を具ふる程度より更に上ること一段すれば啻だ感覺の能あるのみならず其が自らの活動を自覺するに至る、而してこは記憶作用に基づき幾多の想念を相結合せしむるに因りて成るなり。此の段階に至れば靈魂は明らかなる意識を具ふるものと成る、吾人人類の有する所即ち是れなり。而して斯く明らかに意識を有して活動するものに至れば其の想念は思考となり、其が一想念より更に明らかなる想念へ移り行か