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Page:Onishihakushizenshu04.djvu/120

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《アルノール、ジューランクスのオッカジオ論。》〔二〕心と物との關係は早くよりデカルト學徒の中に注意されたる點にして此れよりして漸次オッカジオ論の開發に向かひたり。オッカジオ論は佛蘭西人ルイ、ド、ラ、フォルジ(Louis de la Folge)及び獨逸人ヨハン、クラウベルグ(Johann Clauberg)等の所說に其の端緖を發見し得れども、此の論を最も明瞭に唱へ出でたるはクラウベルク等と時を同じうせし


アルノール、ジューランクス(Arnold Geulincx 一六二五―一六六九)

なり。彼れはリヨーヹン大學に於いて又後にライデン大學に於いて敎授たりき。彼れが思想の根據はデカルトの立てたる實體てふ觀念及び心物二元の論なり。彼れはデカルトの思想に基づきて心と物とが互に相影響することの出來得べからざるを見、而して尙ほ追加して曰はく、我れは如何にして爲し得るか(其を爲し得る道)を知らざることをば爲す能はず、然るに我れは如何にして感覺の生ぜしめらるゝかを知らず、また如何にして我が意志する時に我が身體の動かさるゝかを知らず。(是れ嚮にデカルトの據りて考へたる因果の關係に基づきて考へたるとこ