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Page:Onishihakushizenshu03.djvu/94

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にエレア學派は一原物の變化すと云ふことを否みたり。即ちエレア學派はヘーラクライトスが變化差別を物の實相と見做したるに反して變化差別は吾人の迷妄に過ぎずと斷言せり。此の學派の問ふ所は如何なる一物素が森羅萬象を生ずるぞと云ふよりも寧ろ實に有りと謂はるべきもの(即ち實有の體)は何ぞやと云ふにあり。エレア派と名づくるは南部以太利のエレアといふ市府に起こりしが故なり。此の學派を建てたる功績はパルメニデースにあり。


パルメニデース(Παρμενίδης

《開祖パルメニデースの生涯、人物。》〔二〕クセノファネースが凡べての物は一體にして不動也といへりしより史家或はエレア學派を彼れに始まれりといへど、眞に此の派の開祖と見做すべきはパルメニデース也。クセノファネースは唯だ世界は唯一にして不動なりといひしに止まり未だ變化雜多を否むには至らざりき、未だ明らかに唯一雜多とを相容れざるものとは言はざりき。然るにエレア學說の主眼ともいふべき所は眞に有りといはるべきものは唯一不變平等なる實體にして他は一切無なりとするの點に