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Page:Onishihakushizenshu03.djvu/84

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以て成り而して其の沒し又其の光の消ゆることあるはその象を形づくる雲の離散すればなり、其の光の顯はるゝは其の雲の再び收結すればなり。然れども又傅へ云ふ、件の雲は炭火の如く一時消えうせて其の光を失ひ後また燃え出づと彼れは說きたりと。又或は彼れの說を解して每日每夜新たなる日月星辰が絕えず天空を走りゆくと思ひしなりともいふ。彼れは山上に海生物の化石のあるを見て大地は曾て流動體なりしか、はた水中に沒せしことありしなるべしと說き、又將來水の作用によりて再び原始の狀態に還るべし、其の時人類も悉く滅亡し而して再び大地の形成せらるゝと共に生出すべしと說きたりとぞ。

《クセノファネースの說の要點と其の未釋の點。》〔五〕世界の構造に關するクセノファネースの說には種々明瞭ならぬ個處あれど唯一なる全世界を神と見又この神を不動常住の者と見たりしは其の最も肝要なる點にして而してこゝに更に解釋を耍する問題の含まれありしなり。何ぞや。恒久不動なる神と全世界とは一なるに如何にして此の世界には種々の運動變化あるかといふこと又其の唯一の神と個々萬物との關係は如何にといふこと是れ也。換言すれば常住不動なる唯一の神と變々化々する萬物とを如何にして調和せし