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に至りしは畢竟彼れがもと宗敎的人物として出でしが故ならむ。

《ピタゴラス盟社の性質。》〔三〕ピタゴラスが勢力の當時に認められしは專ら其の結びし盟社によれり。こは一種特別の禮拜式を有する講社の如きものにしてこれに屬せしともがらは一定の戒律を守りきと見ゆ。されど其の戒律の如何なるものなりしかに就いては後世の史家その見を異にす。要するにピタゴラス盟社は宗敎的信念を中心として一定の戒律を守り一種特別の生活を送るを以て目的としたりし也。當時の此の種の宗敎的圑體には種々なる迷信の行はれたるを見ることなるが、ピタゴラス盟社はそれらの中にては先づ最も立ち優りたる者なりしならむ。且つ又此の社にては夙くより音樂數學をはじめ體操美術をも兼修したりしが如し。

此くの如くピタゴラス盟社の最初の目的は專ら宗敎道德的生活を規定するにありしが之れと關聯して政治上の運勸にもたづさはり當時の政治社會にただならぬ勢力を及ぼすものとなりき。如何にして此の盟社が政治上の勢力を有するに至りしかに就いては史家その意見を同じうせず。或は曰ふ、此の社は社會の風紀を維持せむが爲めに貴族政治即ちスパルタ風の政體を主張したりと。或は曰ふ、