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〈竟推測に外ならず。〉
《其の天地構造說。》〔九〕天地の構造に關するアナクシマンドロスの說を略述すれば元と濕にして寒なるものを取卷きて火ありこの火後に分裂して蒼穹に羅列する天體となり、而して濕にして寒なるものは火に照らされて蒸發し又遂に水陸相分かれて吾人の住する大地を成せり。地體は圓柱形にして高さ幅の三分の一、人類は其の平面に住す。又大地は世界の中心に位して諸〻の天體は絕えず其の周圍を廻轉す。アナクシマンドロスは太陽の軌道の大地の面に對して斜なることを認めたりといふ。人類はもと現今吾人の有する所とは異なれる形體を具へ魚鱗の如きものを被りて水泥の中に棲居せりしが後に水中を出でて陸上にその子孫を蕃殖せしむるに至り、遂に今日の人間の如き形體を具ふるものとなれりといふ、是れアナクシマンドロスの有名なる考說として後世に傳へらるゝ所なり。
《ト、アパイロンの働き方。》〔十〕萬物はかくしてト、アパイロンより出で來たれるがこはまた終にはト、アパイロンに還り、還りては出で、出でては還り來往循環歇むときなしとアナクシマンドロスは說きたりしが如し。其の書中の句として今日に傅はれる名高き語に