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は世界の歷史に於いて吾人を導きて神に復歸せしむるものにして世界の歷史は無意味なるものにあらず善美なる窮竟地に向かひて進み行くものなること、吾人は只管形骸を厭離するを要せず現世に於いて肉身に住しながら尙ほ基督を模範として淸淨なる生活を送るを得と云ふこと等の基督敎神學に於ける主要なる思想はオリゲーノスによりて明らかに形づくられたれりき。


ニカイア會議以後の時代

《ニカイア會議以後の敎理問題、その決定。》〔一〇〕哲學上より見れば基督敎理の根本思想は畧〻オリゲーノス等の手によりて成立したりといふべきも敎會の敎義としては更に明瞭にするを要する點少なからず。盖し基督敎會の敎理の根柢は神が基督によりて人間を救ふといふことに在りて此の神、基督、人間てふ三者を中心として敎義上更に決定すべき問題のあるあり、此の故を以てニカイア及び其の以後の幾多の會議は開かれたり。それらの問題は神性論、基督論、及び人性論の三大中心に纏めらる。中に就き第一問題は三位一體說によりて、第二問題は基督を神人と見ることによりて、第三なる人性