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の本性(οὐσία)を指摘するもの、換言すれば其の事物よりも一層廣くして其の事物の從屬するものの槪念に加ふるに其の事物に特殊なる相を加へて其の事物の槪念を成り立たしむるを謂ふ。一層廣き槪念は是れ類(γένος)なり之れに殊相(διαφορά)を加へたるもの是れ種(εἶδος)なり。但し一事物に於いて發見せらるべきものに其が本性及び其の本性と必然に關係するもの〈例へば三角形といふ槪念即ち其の本性よりして其の角度の和が二直角に等しと云ふことの必然に出で來たる如き〉の外に全く偶然なるもの(συμβεβηκός)あり、これは其の事物の槪念より考へ出だすべからざるもの、從うて學理的說明の範圍に入るべからざるものなり。(此等の點はアリストテレースが論理思想の其が純理哲學と離しては解すべからざる所なり。)畢竟事物の定義を下すは通性を本として個性が如何にそれに關係するかを示すにあり、而して斯くすることに缺くべからざるは一範圍に於ける物を一も遺さず又種類上の一段階をも飛び越えずして順次に開發しゆく分類法なり。
《原理、十種の範疇。》〔一一〕斯くして定義を下すに至りて成り上がれる諸槪念の最高頂上に在るもの(即ち一切他の槪念の根據となるもの)をば開きて之れを判定の形に言ひ表はせるもの是れ諸學科に於ける原理なり。諸學科の各範圍に於いてそれぞれに其