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Page:Onishihakushizenshu03.djvu/262

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が數理的關係に從ひて働くと云へる、又四元素が平面を以て組成さるゝことを說ける、是れ明らかにピタゴラス學派の說に取れる所ある也。彼れ以爲へらく、地水火風の四元素は皆平面の相重なりて成れるもの唯だ其の平面の形と大さと其の相重なる數とによりて四種の區別は生ずと。是れ即ち凡べての物理的及び化學的性質の差別を幾何學上の差別に歸せむとするものなり。火は三角形の四面體、地は正方形の六面體,空氣(風)は等邊三角形の八面體、水は等邊三角形の二十面體なりと說ける是れまた當時ピタゴラス學徒の唱へたる所なりと知らる。

《其の心理說。》〔二二〕尙ほプラトーンは自然界の有生氣的及び有意識的現象を說いて曰はく、生物殊に人間に於いて更に能く萬有の靈の働きを看る、人間の精神は此の靈の宿れるもの然れども此の靈が是れ已に純粹のイデアにあらずして非有に關はる所あるが如く人間の精神も亦一面イデアに與れると共に他面に於いては形骸に結ばれたる所ありと。是れプラトーンが心理說の根本思想なり。然れども彼れが心理說は其の自然界の論に根據すといはむよりも寧ろ其の知識論及び倫理說に基づけりと謂ふべし。啻に心理說のみならず其が自然界の論全體が(ヸンデル