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メガラ學派
《此の派の根本思想。》〔二〕此の派の唱へたる要旨はソークラテースの敎說とエレア學派の思想とを結合せるが如きものなり。ソークラテース謂へらく、吾人の知識は事物の遍通不易なる所を看取するものならざる可からず、即ち事物の槪念を形づくるものならざる可からずと。オイクライデース以爲へらく此の事物の遍通不易なる所は畢竟ずるにエレア學派の所謂唯一不變平等一如なる有に外ならず、此の外に實有のものある無し、眞正の知識は此の有を知るにあり、且つソークラテースが揭げし倫理問題の中心點なる善と謂ふものも畢竟此の有に外ならず、知見と云ひ理性と云ひ或は神明といふ、名は則ち異なりと雖も要するに此の有を指したるなり、而して又之れを知る知識是れ即ち德なりと。メガラ學派の根本思想は此の外に出でず。
《此の派の詭辨的論法。》〔三〕かくの如き說を立つるに當たりオイクライデースはエレア派のヅェーノーンが用ゐたる論法を襲ひて正面よりするの論證によらず專ら反對說を駁擊し