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Page:Onishihakushizenshu03.djvu/185

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《ソフィストの事業。》〔二〕前述せる如く物界硏究時代の末つかたより生理學、醫學、數學、星學等學術の局部々々の硏究やゝ精密となり來たり、また歷史もヘーロドトス(Ἡρόδοτος)出でて一段の進步をなしぬ。而してこれと同時にこれら學理的硏究の結果を實際の事柄に應用せむとする傾向また著るく見え來たりぬ、これ社會活動の結果にして又當代の需用に應ぜむとする自然の道なりき。是れよりさき希臘國民が一たび波斯戰爭に光榮ある勝利を得たりしより前述せる如き學術の硏究蔚然として競ひ起こり又これと共に文學、技藝、美術燦然として一代の盛觀をひらき政治機關はた大に發達して社會の事ます複雜を極むるに至れり。而して當時希臘文化の中心は亞典府なりき。此くの如き社會にありて時人の最も榮譽とし又目的とせし所のものは公生活即ち政治上の舞臺に立つ事にありしが、此の事のためには理財、政法及び兵事等に關する明確なる知識を要し單に漠然たる從來の傳說にのみ依賴するものの能くし得る所にあらず。又これと共に政治上の生活に必要なる辯舌をも練修せざるべからず。ソフィスト等乃ち此等社會の必要に應じて出で時人に諸種の智識を與へ處世立身の道を敎へむとしたるなり。原語にソフィステ