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了はれるに至つて殊に著るく此の困難に面し來たれるなり。是れ機械的說明を擴張し來たつて遂に其の說明の弱點を暴露したるものにあらずや。此の點に於いてはアナクサゴーラスの謂ふヌウス說はやゝアトム論とその趣を異にせり。然れども是れ將た全く物理說を超脫したる所見にあらぬことは前に論ぜしが如し。アトム論は希臘哲學初代の物理說を其の機械的說明の傾向に從うて其の頂上にまで發達せしめて知らず識らず其の弱點を露出したるもの、アナクサゴーラスのヌウス說は機械的說明をいさゝか脫せむとし、而かも之れを脫し得ずして尙ほ物理說の範圍內に徜徉したるもの也。
第十章 折衷說及び物界硏究時代の大勢
《折衷說の出現、科學的硏究の進步。》〔一〕エムペドクレース、アナクサゴーラス、ロイキッポス等の略〻其の世を同じうして出でし時こそ希臘哲學の初期にありて學派の相競うて勃興せし頂上ならめ。其の後は物理的思索に於ける創始發明は漸く衰へて希臘思想界の一大新傾向の將に其の頭を擡げむとするあり。此の時に方たりて尙ほ從來の物理的思索の立