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Page:Onishihakushizenshu03.djvu/111

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これを包圍する無際限の虛空あることを說きたりと思はるれば也。又或史家はヅェーノーンが多を難じ動を難ずる論はアナクサゴラス等に向けたるものならむと考ふ(アナクサゴラスに就いては後章を見よ)。


提要

《エレア學派の提要及び其の難點。》〔十二〕之れを要するにエレア學派の根本思想は實有のものは平等一如にして變化なく生滅なしといふことにあり。實に有るものが無となることなく又無が有となることなし、即ち生滅と云ふことなし、不變一如が有の實相にして變化雜多はすべて迷妄なり。かく不變一如を實有とし生滅を拒否するが是れエレア學の骨髓にして其の學が希臘哲學の發達に大影響を及ぼしたる所以こゝにあり。

クセノファネースは全體即一體といひ而して其の一體を不動と見たり。ヘーラクライトスは宇宙は一にして而も常に變化すると見一體變化とは相容るゝものなりと考へたり。パルメニデースは一體と變化とは相容れざるものなりと考へ實有は平等一如、不生滅、不變化ならざる可からず、これのみ唯一の實體にして雜多變