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Page:NiimiNankichi-NurseryRhymes and Poems-1-DaiNipponTosho-1981.djvu/69

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それならばやむをえぬ

草の葉をげつけて

ぜん意󠄁を示すばかりだ

だがとつ

彼は物すごい一跳びをとんだ

とぶ先の目當てなしに

力のありつたけを後ではねて

花󠄁菖蒲せうぶの茂みの中に

ばさつとちこんだ

しかもたゞ一跳びきり

あとはかさとも音󠄁もたてぬ

彼は最後までぼく挨拶あいさつ拒󠄁こばんだ

ぼく如き懐疑くわいぎ的󠄁人物、人生のはいりう

ものいひかけらるゝを

潔しとしなかつた

草莽︀の臣 彼は花󠄁菖蒲せうぶ方で

たい然と

あちらを向いて土下してゐる