らむ、王のみならず、おほかた貴きいやしき統さだまらず、周といひし代までは、封建の制とかいひて、此別ありしがごとくなれど、それも王の統かはれば、下までも共にかはりつれば、まことは別なし、秦よりこなたは、いよゝ此道たゝず、みだりにして賤き奴の女も、君の寵のまに〳〵、忽に后の位にのぼり、王の女をも、すぢなき男にあはせて、耻ともおもへらず、又昨日まで山賤なりし者も、今日はにはかに國の政とる高官にもなり登るたぐひ、凡て貴賤き品さだまらず、島獸のありさまに異ならずなもありける、
そも此道は、いかなる道ぞと尋ぬるに、天地のおのづからなる道にもあらず、
是をよく辨別て、漢國の老莊などが見と、ひとつにな思ひまがへそ、
人の作れる道にもあらず、此道はしも、可畏きや高御產巢日神の御靈によりて、
世中にあらゆる事も物も、皆悉に此大神のみたまより成れり、
神祖伊邪那岐大神伊邪那美大神の始めたまひて、
よのなかにあらゆる事も物も、此二柱大神よりはじまれり、