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十三 地方自治

 戦争中は、なんでも「国のため」といって、国民のひとりひとりのことが、かるく考えられていました。しかし、国は国民のあつまりで、国民のひとりひとりがよくならなければ、国はよくなりません。それと同じように、日本の国は、たくさんの地方に分かれていますが、その地方が、それぞれさかえてゆかなければ、国はさかえてゆきません。そのためには、地方が、それぞれじぶんでじぶんのことを治めてゆくのが、いちばんよいのです。なぜならば、地方には、その地方のいろいろな事情があり、その地方に住んでいる人が、いちばんよくこれを知っているからです。じぶんでじぶんのことを自由にやってゆくことを「自治」といいます。それで国の地方ごとに、自治でやらせてゆくことを、「地方自治」というのです。

 こんどの憲法では、この地方自治ということをおもくみて、これをはっきりきめています。地方ごとに一つの団体になって、じぶんでじぶんの仕事をやってゆくのです。東京都、北海道、府県、市町村など、みなこの団体です。これを「地方公共団体」と