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裁判所の仕事が国民の目の前で行われるということです。これも憲法ではっきりときめてあります。

 こんどの憲法で、ひじょうにかわったことを、一つ申しておきます。それは、裁判所は、国会でつくった法律が、憲法に合っているかどうかをしらべることができるようになったことです。もし法律が、憲法にきめてあることにちがっていると考えたときは、その法律にしたがわないことができるのです。だから裁判所は、たいへんおもい役目をすることになりました。

 みなさん、私たち国民は、国会を、じぶんの代わりをするものと思って、しんらいするとともに、裁判所を、じぶんたちの権利や自由を守ってくれるみかたと思って、そんけいしなければなりません。

十二 財政

 みなさんの家に、それぞれくらしの立てかたがあるように、国にもくらしの立てかたがあります。これが国の「財政」です。国を治めてゆくのに、どれほど費用がかゝるか、その費用をどうしてとゝのえるか、とゝのえた費用をどういうふうにつかってゆくかというようなことは、みな国の財政です。国の費用は、国民が出さなければなりませんし、また、国の財政がうまくゆくかゆかないかは、たいへん大事なことですから、国民は、はっきりこれを知り、またよく監督してゆかなければなりません。

 そこで憲法では、国会が、国民に代わって、この監督の役目をすることにしています。この監督の方法はいろいろありますが、そのおもなものをいいますと、内閣は、毎年いくらお金がはいって、それをどういうふうにつかうかという見つもりを、国会に出して、きめてもらわなければなりません。それを「予算」といいます。また、つかった費用は、あとで計算して、また国会に出して、しらべてもらわなければなりません。これを「決算」といいます。国民から税金をとるには、国会に出して、きめてもらわなければなりません。内閣は、国会と国民にたいして、少なくとも毎年一回、国の財政が、どうなっているかを、知らさなければなりません。このような方法で、国の財政が、国民と国会とで監督されてゆくのです。

 また「会計検査院」という役所があって、国の決算を検査しています。