うす。
395
弊衣を著たる人の瘦せて、脈管露はるるに至り、獨り林閒に〔入りて〕禪思せるもの、之を我は婆羅門と呼ぶ。
396
(6)我は(7)〔婆羅門女の〕胎より出で、〔婆羅門の〕母より生れたるの故を以て婆羅門と呼ぶことなし、彼若し我有あらば、彼は〔我を〕(8)爾と呼ぶの徒なり、我有なく取著なきもの、之を我は婆羅門と呼ぶ。
397
所有ゆる愛結を斷ち、怖るる所なく、著を超え、繫を離れたるもの、此の人を我は婆羅門と呼ぶ。
398
(9)紐と緖と索とを、之に屬するものと共に、倂せ斷ち、梁木を摧きたる智者、われは此の人を婆羅門と呼ぶ。
399
惡罵も、打擲も、監禁も怒ることなくして默受し、堪忍力ありて、心猛き人、われは斯の如き人を婆羅門と呼ぶ。
400
忿怒なく、行あり、戒あり、欲を離れ、自調して、最後身に達せるもの、我は之を婆羅門と呼ぶ。
401
荷葉の上なる水の如く、錐の頭なる罌粟の如く、諸欲に染せざるもの、我は之を婆羅門と名く。
402
己の苦惱の此處に滅ぶるを知り、重擔を卸し、繫縛を離れたるもの、我は之を婆羅門と稱す。
403
深智あり、賢才ありて、道非道を辨へ、最上利に到達せるもの、我は之を婆羅門と呼ぶ。
404
在家人にも、出家人にも、其の閒に混らず、家なくして遊行し、欲寡きもの、われは此の人を婆羅門と云ふ。
405
弱きも强きも、有情に對して刀杖を加えず、之を害ふことなく、將た殺さしむることなき、此の人を我は婆羅門と呼ぶ。