355
財は劣智の人を害へども(11)度脫を求むる人を〔害ふこと〕なし、財欲のために無智者は其の身を害ふこと、〔猶ほ〕他を〔害ふ〕が如し。
356
田は惡草のために損はれ、此の羣生は貪欲のために損はる、されば離欲の人に施せる〔物〕には、大果報あり。
357
田は惡草のために損はれ、此の羣生は瞋恚のために損はる、されば離瞋の人に施せる〔物〕には、大果報あり。
358
田は惡草のために損はれ、此の羣生は愚癡のために損はる、されば離癡の人に施せる〔物〕には、大果報あり。
359
田は惡草のために損はれ、此の羣生は意欲のために損はる、されば離慾の人に施せる〔物〕には、大果報あり。
(1) Visattikā を『長老偈』三九九偈の英譯にてリス・デビヅ夫人は The poisoner of all mankind とす、あらゆる人類を毒するものの意、欲、欲望の意もあり。 (2) 學名を Andropogon murica tum と云ふ、一種の香草なり、其の敎を優尸羅と云ふ、三三七偈を見よ。 (3) Vanatha には矮樹林、下生、園欲等の意あり。 (4) Vana にも森林、叢林、園欲等の意あり。 (5) 阿羅漢果を指すと釋せり。 (6) 言語と文句。 (7) 文字を集めたるもの、卽ち文章と、文章中文字の前後。 (8) 阿羅漢や獨覺や佛は一旦無餘涅槃に入れば、再び世に出ることなし、故に此等を指して最後身の人と云ふ。 (9) 諸經要集二一一偈、イチウッタカ一一二偈、マハーヷッガ(大品)一の六參照。 (10) 愛欲、愛會を盡すことにて阿羅漢果を云ふ。 (11) 彼岸に達せんと願へる人。
沙門品第二十五
360
眼を以て〔自ら〕攝するは善く、耳を以て〔自ら〕攝するは善し、鼻によりて攝するは善く、舌の上に〔自ら〕攝するは善し。
361
身に於て攝するは善く、語に於て攝するは善し、意を以て攝するは善く、一切處に攝するは善し。一切處に