313
若し事を爲すべくばこれを爲し、斷斷乎として奮迅せよ、そは放逸なる沙門道は塵垢を散ずること多ければなり。
314
惡業は作さざるぞ好き、惡業は後に至りて、苦を招く、作して苦を招くことなき善業は、これを作すぞ好き。
315
邊地の都府を內外共に護るが如く、然く己を護りて瞬時も逸すること勿れ、瞬時を忽にするものは地獄に墮ちて憂ひ悲む。
316
恥づべからざるに恥ぢ、恥づべきに恥ぢず、邪見に著せる衆生は惡趣に趣く。
317
恐なき所に恐を見、恐るべき所に恐を見ず、邪見に著せる衆生は惡趣に入る。
318
過なきに過の念を爲し、過あるに過を見ず、邪見に著せる衆生は惡趣に到る。
319
過を過と見、過なきを過なしと見、正見を抱ける衆生は善趣に生る。
(1) 諸經要集六六三偈。 (2) 國民の信仰によりて施す供養物。 (3) 茅に似たる草の一種。
象品第二十三
320
われは戰場に赴ける象の、弓を離れたる箭を〔忍ぶ〕が如く、罵詈を忍ぶ、是れ羣生は、破戒の徒なればなり。
321
〔人は〕調けたるを戰場に引き行き、王は馴れたるに騎る、人の中にて、自制心あり、罵詈を忍ぶは最第一なり。
322
騾の馴れたるは善く、氣高き(1)辛頭馬は善し、大龍象王は善く、己を制せるものは更に善し。
323
此等の乘物に〔騎り〕ては、〔人は〕(2)不至の地に到る