176
唯一の法を超え、妄語を吐く人、來世を等閑に思へるものは、罪として犯さざるなし。
177
慈念なき輩は天界に入らず、愚人は施與を稱揚することなし、賢者は施與を隨喜し、之によりて彼は來世に於て安樂なり。
178
世界を一王の國土となし、或は天界に赴き、有ゆる世界に主となる、預流果は此の何れにも勝る。
佛陀品第十四
179
勝ちたるものは再び之を勝つこと能はず、其の勝利には此の世の何人も之に入ること能はず、(1)斯く行履限りなく、跡なき佛を如何なる道によりてか導かんとする。
180
其の網、其の欲、其の愛、何處にも之を尋ぬべきなし、斯く行履限りなく、跡なき佛を、如何なる道によりてか導かんとする。
181
勇者の禪思に專にして、出離・寂靜を喜ぶ、斯の如き正覺・〔正〕念の人は諸天も羡む所なり。
182
人身を得るは難く、有情の生存は難し、妙法を聞くは難く、諸佛の出世は難し。
183
(2)一切の惡事を作さず、善事に近づき、己の意を淸淨にする、是れ諸佛の敎なり。
184
忍辱・堪忍は最上の修行、涅槃は最勝なりと、諸佛は宣ふ、是れ人を害ふものは出家にあらず、他を惱すものは沙門にあらざるが故なり。
185
罵らず、害はず、婆羅提木叉に於て防護し、食に於て量を知り、閑處に坐臥し、增上心に住する、是れ諸佛の敎なり。
186
金貨を雨すとも、諸欲に飽くこと能はず、諸欲は少味にして苦なりと、之を知るは賢者なり。