長す。
75
一は利養に導くものにして、一は涅槃に引き行くものなり、佛弟子たる比丘は、此の意を證りて恭敬を喜ばず、遠離のために修習せよ。
(1) 由旬とは里程の名、四哩より十八哩に至り、諸說一定せず。 (2) 一筒月每に、茅草の端にかゝるほど少量の食を取るとも、其の功德は善く法を行ふ人の功德の十六分の一にも當らず。
賢哲品第六
76
〔身の〕過を指し、失を責むる智者、斯る賢者を見ば、〔寶の〕在所を吿ぐる人の如くに事へよ、斯る人に事ふるものには是ありて、非あることなし。
77
誡めよ、敎へよ、不相應の事より遠ざからしめよ、彼善人には愛せられ、惡人には憎まれん。
78
惡友と交るなかれ、卑劣の輩と交るなかれ、善友と交り、尊貴の士と交れ。
79
法を喜ぶものは澄みたる心を以て快く臥す、賢者は常に聖者の說ける法を樂む。
80
渠工は水を導き、箭匠は箭を矯む、木工は材を曲げ、賢者は己を調ふ。
81
一塊の磐石の、風に動かされざるが如く、賢者は毀訾と稱譽とに動かさるることなし。
82
底深き池水の、澄みて、濁なきが如く、賢者は法を聞きて心を澄ましむ。
83
善人は一切處に〔欲を〕棄て、良士は(1)欲を求むるが爲に語らず、樂に觸れ、將又苦に〔觸れても〕、賢者は(2)變れる相を現すことなし。
84
自の爲にも他の爲にも〔惡を行はず〕、兒をも財をも國をも、之を求むることなく、非道によりて、己の利達を求むることなし、これぞ德者・智者・義者なる。
85
人閒の中にて、(3)彼岸に到るものは少く、其の他の