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りしものを、事重ならせさせ給はざりしをり御祈を𛁈、遂󠄂にありける御事をも讓り參らせらるゝと、我がさたにも及ばぬ事さへぞ覺ゆる。』かくて七月六日より、御心ち大事に重らせ給ひぬれば、誰も月頃とても例ざまにおぼしめしたりつることは難きやうなりつれども、これかやうに苦しげに見參らする事はなくて過󠄁ぎさせ給ひつる。かくおはしませばいかならむずるにかと、胸潰れて思ひあひたり。その頃しも、上﨟󠄂たちさはりありてさぶらはれず。あるは子產み、あるは母の暇、今一人はとうよりも籠り居てこの二三年參られず。御乳󠄁母だち藤三位ぬるみ心ち煩ひてまゐらず。辨󠄁三位は、東宮〈□□〉の、母もおはしまさで生い立たせ給へば心のまゝに侍はるべくもなきに、あはせてそれもこの頃おこり心ちに煩ひて、たゞ大貳三位われ具󠄁して三人ぞ侍ふ。さればたゞあやしの人の煩ふだに人のいと參り𛁈たしく扱ふ人おほくほしきに、これはましてほし。日の暮るゝまゝに堪へがたげにおぼしめしたれば、院〈白河〉にかくと案內申さする。「驚かせ給ひて、近󠄁くて御ありさま聞かむとて、俄に北の陣に御幸ありて」と奏す。かく苦しうおぼしめしたれば、おほとなぶら例よりも近󠄁く參らせなどするほどに、たゞ消󠄁えに消󠄁え入らせ給ひぬ。あないみじと泣きあひて、內大臣〈雅實〉、關白殿〈忠官〉まゐりて、つと侍はせ給ふ。大かたのゝしりあひたり。增譽僧︀正、賴基律師、增賢律師など召しにやりつゝ、賴基律師即ち參りて經讀み佛くどきまゐらせらるゝほどに、𛁈ばしばかりありて打ち身じろきせさせ給ふに、今少しのゝしりあひぬ。經讀まるゝを聞かせ給ひて、「今はやくあらじ。唯かりうつせよ」と仰せられ出でたれば物つく者などめしてゐて參り移さるゝ。おびたゞしさは