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Page:Kokubun taikan 09 part1.djvu/73

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  聞きしかど  ひとごとしげき  ありしかば  みちなきことゝ

  なげきわび  たにがくれなる  やまみづの  つひにながると

  さわぐまに  世を卯つきにも  なりしかば  やまほとゝぎす

  立ちかへり  きみをしのぶの  こゑ絕えず  いづれのこと〈里カ〉

  鳴かざ〈り脫カ〉し  ましてながめの  さみだれは  うき世のなかに

  ふるかぎり  たれがたもとか  たゞならむ  絕えずぞうるふ

  さつきさへ  かさねたりつる  ころも手は  うへしたわかず

  くたしてき  ましてこひぢに  おりたてる  あまたの田子は

  己がよ〈ま〉ゝ  いかばかりかは  そぼちけむ  四つにわかるゝ

  むこどりの  おのがちりぢり  巢ばなれて  わづかにとまる

  すもりにも  なにかはかひの  あるべきと  くだけてものを

  おもふらむ  いへばさらなり  こゝのへの  うちをのみこそ

  ならしけめ  おなじかずとや  こゝのへ〈くカ〉に  しま二つをば

  〈ながイ有〉むらむ  かつはゆめかと  いひながら  あふべきごなく

  なりぬとや  きみもなげきを  こりつみて  しほ燒くあまと

  なりぬらむ  ふねをながして  いかばかり  うらさびしかる

  世のなかを  ながめかるらむ  行きかへり  かりのわかれに