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とは知るにかあらむ。さりとも人を知らじ。唯さうち覺ゆるもいふめり。難義の事をいひてその事させむとすといはむといふを、と文字をうしなひて「唯言はむずる、里へ出でむずる」などいへば、やがていとわろし。まして文を書きてはいふべきにもあらず。物語こそあしう書きなどすれば、いひがひなくつくり人さへいとほしけれ。「なほす、定本のまゝ」など書きつけたるいと口をし。「ひでつくるまに」などいふ人もありき。もとむといふ事を見むと皆いふめり。いと怪しき事を男などはわざとつくろはで殊更にいふはあしからず。我が詞にもてつけていふが心おとりすることなり。
下襲は
冬は躑躅、搔練襲、蘇枋襲。夏は二藍、しら襲。
扇の骨は
靑色はあかき、むらさきはみどり。
檜扇は
無紋、から繪。
神は
松の尾。八幡この國のみかどにておはしましけむこそいとめでたけれ。みゆきなどになぎの花の御輿に奉るなどいとめでたし。大原野。賀茂は更なり。稻荷。春日いとめでたく覺えさせ給ふ。佐保殿〈冬嗣邸〉などいふ名さへをかし。平野はいたづらなる屋ありしを「こゝは何する所ぞ」